知的障がい疑似体験の研修&ぐるーみんのセルフ体験会(2017/9/10)

ぽけっとの会では久しぶりの会全体の研修会を9月10日(日)新宿区立障害者センターにて行いました。参加者はなんと18家族、大人24名兄弟児8名総勢49名でした。

『知的障がい』の疑似体験とは

『知的障がい』の疑似体験とは、知的障害の人たちって、こんな気持ちになるよ、こんな風に感じるんだよ、こんな工夫があればわかりやすいよね。ということを体験することで知るというものです。ぽけっとの会はダウン症のあるお子さんたちの親の会ですが、自閉症のある方をはじめ、他の障がいのある方の体験をすることや、我が子が、感じているかもしれないことを、知ることができるのではないかな?ということで企画しました。ダウン症のあるご本人さんたちも参加しました。

研修会写真1
今回のイベントはお父さんも多数参加

「情報が少なく質問もできない」という不安を体験

講師は自閉症のあるお子さんを持つママである引地さんこと。ヒッキーさんです。
4つの体験をしました。2つご紹介します。

指示待ち体験

知らない“いっちゃん”から道具をもらいにいく。
“いっちゃん”がだれなのかは知らないし、何を取りに行くかを教えてもらっていない中での体験。またしゃべれる言葉は「ください」のみ。大人も子供もキョロキョロしながら、あちこちで「ください」を連発。参加者の中でさくらになっている人が“いっちゃん”のところへ「ください」と取りに行くと、みんなもぞろぞろと取りに行く。知的障がいの子(人)は、みんなの後についていってもそれは意味がどこまでわかっているのかを考えてほしいと言われてました。また親である私たちの指示もきちんと、どの人が“いっちゃん”でというように細かくわかるように話してあげるこれがとても大事なんだと、今更ですが感じました。

何を取りに行くかもわからずどこに行っていいかわからずみんな混乱!

言葉を聞いて絵を描こう

次の体験は、ペアを組んで言葉の説明だけでとても複雑な絵を買描いてもらう。シングルフォーカスやコーヒーのメーカーの情報を全てわかっているグループと全くわからないグループで違和感を感じてもらうなど。みんなで頭を混乱させながらも、そうかそうだったのかあと自分の子育てを反省させられる体験研修でした。
例えば人によって「ちょっと」「ちゃんと」のイメージが違うことがわかりました。

研修会写真3

伝え方のコツは具体的に指示すること

研修会写真4

ぐるーみん講座

最後にヒッキーさんが今取り組んでいるぐるーみんの体験。ぐるーみんは障がいのある方の為にとかんがえられたどなたでも簡単に出来るボディケアです。ちょっと施術してもらったぽけっとちゃんたちは気持ち良さそうにしてました。このイベントを企画したママも以前施術をしてもらったのですが気持ち良くてウトウトしてしまいました。
ヒッキーさんのぐるーみんにご興味のある方はこちらをご覧ください。
「ボディケアLa*Qoo新宿」

みんなの感想

私個人の感想は絵で書けない説明はしないこと。「ちょっと」「だいたい」「こんな感じ」「あそこ」など、普段どれだけ使っていて春花にキーキーいっていたことか。今はあと10分とかここの半分までなどの視覚優位の方法に変えています。

はるちゃんママ

ぽけっとの会としては、久しぶりの勉強会でしたが、18家族もの参加があり、「知的障がいを体験する」という新しい取り組みへの、皆の関心の高さがうかがえました。
いっちゃんが登場した指示待ち体験では、「良く理解はしてなくて不安だけど、皆と同じようになんとなく動く」という、模倣が得意なダウン症のかたの気持ちを体験出来たと思います。改めて、「簡潔で、具体的な指示出し」の大切さを考えさせられました。
今後、もし出来ることなら、ダウン症の特性(例えば、数字には弱いが、経験値にもとずく行動は得意など)にフォーカスしたプログラムをもっと考えて、それを多くのかたと共有できたら良いなと感じました。
有意義な研修会を有り難うございました。

りんくんママ

今回、我が家がぽけっとの会の勉強会に参加するのは初めてのこと。「障がい者の世界を疑似体験」の触れ込みに乗せられ、流行りのVRを体験するつもりでわくわくしながら会場に一番乗りしました。

ですが、ゴツいゴーグルや、ゆらゆら揺れる足場はいくら待っても出てきません。若干気持ちがダレてしまった頃合いで、講師の先生が切り出しました。

「皆さんが使っていい言葉は『ちょうだい』だけです。はいスタート!」

そんなゆるい指示だけでいい大人が動けるわけがありません。何を誰からもらえばいいのかわからず、みんな右往左往するばかりです。

会場のパニックがピークに達しかけた頃、事態が動きました。誰かが、「ちょうだい!」と叫ぶ大きな声が聞こえます。その方向を見ると、紙の束を抱えた女性(いっちゃん)が、さきほどの大声の彼女に紙を一枚分けていました。

お遣いとしては、極めて簡単な部類です。講師先生が、「みなさん、そこの席に座っているいっちゃんという女性から紙をもらってください」と初めから言ってくれれば、会場のみんなは余計な手間をかけずに済んだはずです。正直、講師先生に対して怒りを覚えました。

と、ここで気づいたのですが、障がい者がふだんのコミュニケーションで感じる気持ちはこれなのだろうと。「もっと具体的に言ってくれませんか」と相手に思わせてしまう指示出しはダメなのだと、この日初めて腹に落ちました。

そして逆の面からも、もうひとつ。障がい者は誰でもみんな「ちょうだい」というニーズを持っています。でもそれを具体的な形で周囲に伝えられない場合がある。そのことを講師先生は教えてくれたように思います。

期待していた流行りのVR技術は、最後までまったく出てきませんでしたが、おそらくVRで体験するよりも心に残るエキサイティングな時間を過ごすことができました。講師先生とぽけっとの会に感謝します。

ゆうたろう君パパ

いくつかのキーワードを絵で表現してみたり、言葉で説明して人に絵を描いてもらったり、読み上げられたものを写真の中から見つけたりというゲームをしてみると、意外にも絵にならなかったり、言葉が伝わっていなかったり、言われたものがなかなか見つけられなかったりで、アタマの中は大混乱。これが知的障害の疑似体験と聞いて初めて気づきました。
ついつい、自分中心の感覚で話してしまいがちで、通じないと「何でだよ!」なんて相手のせいにしてしまっていたけど、自分が伝わるように話していなかったんだ。
「絵に描きにくいものは伝わりにくい」ことや、そもそも認識している土台の情報量が違っているということを知っていると、伝え方が自然と変わってきますね。
想像だけではわからないこと、体験してみて初めてわかることを改めて感じることができました。よい機会をありがとうございました。

あかねちゃんパパ

体験をしてみて、弟に見えている世界が学べたり、話す時には「何でも詳しく細かく説明してあげる事が大切なんだ」という事を知れたので、これからは教えてもらった事を生活にいかしていきたいです。

ゆうと君のおにいちゃん

絵を描くのが難しかった。お母さんの説明がへただったから!!説明が下手だと分かりにくい。

たっ君のお兄ちゃん

【知的障がい疑似体験の研修&ぐるーみんのセルフ体験会】
日時:2017年9月10日
場所:新宿区立障害者センター